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第1話
「宿命が悪いと言われまして」
生まれた時に決まるのは、運命ではなく先天性です
「私のこれからの人生は、どのような運勢なんでしょうか。 というのも、算命学で見てもらったら宿命が悪いと言われたんですが、 でも、人生は諦めきれなくて…」
同じご相談を、この数年で何度か受けてきました。
なかでも印象に残っているのは、私が暮らす福岡県糸島のある寒い冬の朝、zoomでの面談でした。代々続く場を守るお立場の女性が、事業のご相談を一通り終えて帰り支度をされながら、思い出したように口にされた言葉です。
本題ではなかったのだと思います。だから最後になった。
けれど、おそらくそれが、一番聞きたかったことだったのでしょう。
「当たるかどうか」で測っている限り、いつか諦めることになる
占いは、当たるほどよいもの。
多くの方が、そう考えていると思います。的中率が高いほど優れていて、外れるものは価値が低い。ごく自然な感覚です。
ただ、私はここに落とし穴があると思っています。
当たるかどうかで測っている限り、当たった瞬間に、諦めることになるからです。
健康診断を思い浮かべてみてください。体重や体脂肪率。同じ数値を見せられて、落ち込んで終わる人と、では何を変えようかと考える人がいます。数値そのものは、どちらにとっても同じです。違うのは、それをどう受け取る枠組みを持っているかだけです。
「宿命が悪い」と言われて傷つくのは、それが精密に感じられたからです。
精密さは、時に人から動く理由を奪います。細かく言い当てられるほど、受け取る側に残される余地は狭くなる。
問題は、告げた側にあるのではありません。
受け取る枠組みのほうにあります。
完成していない映画に、3億円を出すと決めた日
私はもともと、映画会社で外国映画の買い付けをしていました。
これぞという渾身の一本が、『私の頭の中の消しゴム』という韓国映画でした。のちに日本で韓国映画の興行記録一位を、何年も維持することになる作品です。
ただ、買うと決めたとき、その映画はまだ完成していませんでした。
撮影前のイメージ映像のようなものが、サンプルとして日本に届いていただけです。それを見て、決めました。
提示価格は、日本円に換算して3億円近く。当時の韓国映画としては、破格の金額でした。
それまで日本で最もヒットした韓国映画は『シュリ』です。その数字をもとに損益を計算すると、日本での興行収入が20億円以上必要という結論になりました。
ところが、当時それまでに韓国映画が日本で記録した最高の興行収入は、15億円です。
つまり、過去最高記録を上回らなければ、赤字になる。
普通のシミュレーションでは、どう転んでも買えない案件でした。
数字ではなく、流れを見た
そこで私が見たのは、どんな逆風と追い風が吹いているか。いわゆる気の流れでした。
決め手は三つありました。
一つ目は、その前の年にNHKの衛星放送で『冬のソナタ』が放映され、評判が良かったこと。地上波でも再放送されるという話が動いていました。韓国のドラマや映画が、流れに乗ってくる。そう感じました。
二つ目は、当時の日本政府が広告代理店と組んで「日韓友情年」というムーブメントを企画していたこと。国を挙げての大きなトレンドが、そこにありました。
三つ目は、作品そのものです。脚本の素晴らしさ、主演の二人の演技力。クオリティを担保するものが、確かにありました。
外国映画の買い付けは、社内の反対を押し切ってやることが多い仕事です。ところがこの作品に関しては、私も、直属の上司も、実際に売る営業の人間も、行こうという形になりました。
先に、意志を出した
そしてもう一つ、忘れられないことがあります。
幹事会社の担当者と、釜山(プサン)からの国際電話でこんな言葉を交わしました。
「過去の記録は15億円です。それを塗り替えるつもりでやりましょう」
追い風は、確かに吹いていました。
『冬のソナタ』の地上波放送も、日韓友情年も、私たちが起こしたものではありません。
けれど、同じ追い風の中にいた会社は、他にもあったはずです。
追い風が吹いているだけでは、足りないのだと思います。
それを味方につけたのは、あのとき交わした言葉のほうでした。
結果として、この作品は日本における韓国映画の興行記録一位を、その後何年も維持することになりました。
決まっているのなら、賭ける必要はありません。
賭けられるということは、決まっていないということです。
正直に申し上げます。精度では、他の占術のほうが優れています
先天性を読む精度で言えば、他の占術のほうが優れている部分があります。
四柱推命や算命学は、生まれた日の干支を見ます。生まれた時間まで見ることもあります。西洋占星術に至っては、生まれた場所と時間まで使うものがあります。
九星気学は、そこまで細かく見ません。年盤と月盤が中心です。
精度という一点で比べれば、これは明らかに緩い。
けれど私は、この緩さこそが九星気学の価値だと思っています。
細かく定まるほど、動かせる余地は減ります。すべてが精密に決まっているなら、あとは受け入れるしかありません。
緩いということは、余白があるということです。
そしてその余白は、自分の意志で埋めることができます。
決まっているのは先天性であって、運命ではない
一般的な占いでは、こう言われることがあります。
「あなたの運命は、生まれた時点ですでにこう決まっています」
九星気学では、こうなります。
「あなたの先天性はこうです。そのうえで、こういう未来をつかむことができます」
本命星が示すのは、その人らしい特徴です。どんな傾向を持ち、どこで力が出て、どこでつまずきやすいか。
それは地形のようなものです。簡単には変わりません。
けれど、地形が決まっていることと、どこへ向かうかが決まっていることは、まったく別の話です。
山の形は変えられません。登る道と、登る時期は選べます。
村山幸徳先生の「攻めの開運学」
私が気学を、占いぐらいにしか思っていなかった頃の話です。
東京新宿での村山幸徳先生の初級講義に出て、まず言われたのがこれでした。
気学は「占い」ではない。世の中の見えない裏の成り立ちを読み解くものだ、と。
「裏なり」、です。
そして、他力本願ではいけない、と続きました。
まず自分がどのような生き方をしたいのか。そのエネルギーを、外に向けて放ちなさい。生気を出せ、と。
そうすれば、それに呼応して活気が与えられる。
先生はこれを、『スター・ウォーズ』のフォースにたとえて説明されていました。
生気と、活気。
「この二つを併せて、生活と言うんだ」
私たちが毎日使っている「生活」という言葉の中に、すでに二つの気が入っていた。
そのための「攻めの開運学」なのだ、と。
攻めるといっても、誰かと戦うわけではありません。
待つのではなく、自分から先に出す。主体性の話です。
この話を聞いたとき、私は映画の買い付けのことを思い出しました。
追い風を読んだのは、活気の側です。
けれど、記録を塗り替えると決めたのは、生気の側でした。
順番が逆なら、あの数字にはならなかったと思います。
年盤と月盤までしか見ないので、四柱推命などと比べれば、正確さという意味では緩いのかもしれない。けれどその分、人間の意志と努力によって開運していける。
そこに私は、強く惹かれました。
他人任せでも、運任せでもありません。
自分自身を知ったうえで、自分の意志が、最後に運命を決める。
1億円の融資が、断られ続けていた
ご相談を受けた方すべてのその後を、存じ上げているわけではありません。ですので、これは私が知り得た範囲の話です。
冒頭の女性は、代々続く場を守るお立場でした。建物を建て替えるために、1億円ほどの融資が必要でした。
ところが、地元の銀行からは断られ続けていました。将来性がない、先細りの業界だ、という理由です。
宿命が悪いと言われたのは、ちょうどそういう時期でした。
鑑定をして、そのあと、一緒に学んでいきましょうということになりました。
同期の受講生に、経営者のサポートをされているコンサルタントの方がいて、その方が「こんなことをやってみると融資の可能性が広がりますよ」というアイデアをくださいました。
そして私からは、可能であればご家族でしばらく吉方位に転居できませんか、とお伝えしました。
結果、三社目にあたった地元の信用金庫から、融資を受けることができました。当初希望されていた額を、三割以上上回る金額でした。
何が一番効いたのかは、正直なところ分かりません。
アイデアかもしれませんし、転居かもしれません。あるいは、そのどれでもないかもしれない。
ただ一つ確かなのは、その方が強い意志を持って動くのをやめなかった、ということです。
宿命が悪いと言われてなお、諦めきれないと口にした。あの一言が、すべての起点でした。
あなたが受け取ってきた言葉は、どれくらい精密でしたか。
その精密さは、あなたに余白を残してくれましたか。
自分の事業や人生の流れを、一度外側から見てみたい方へ。
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この記事に含まれる話
よくある質問
九星気学と占いは、何が違うのですか
占いは、多くの場合「これからどうなるか」を当てるものとして使われます。九星気学が読むのは、決まっている結果ではなく、いま自分がどこにいるかという位置です。地図と天気図に近いと思っていただくと分かりやすいかもしれません。位置と流れが分かれば、晴れが続くのか、天気が下り坂に向かうのか。いつ動くか、いつ整えるかを自分で決められます。
生まれ持った星は、変えられないのではないですか
変えられません。本命星が示す先天性は、生涯を通じてその人の特徴であり続けます。ただ、変えられないのは特徴であって、行き先ではありません。同じ地形の上でも、進む道は複数あります。九星気学が扱うのは、その道の選び方と、動く時期のほうです。
悪い運気の年は、何もしないほうがいいのですか
何もしないのではなく、やることが変わる、と考えたほうが実態に合っています。広げるより整える。表に出るより仕込む。人を増やすより、いまいる人との関係を整える。動かない時期ではなく、種類の違う一手を打つ時期です。この見極めについては、別の記事で詳しく書きます。